今日の一冊教師400字ブログ

本の紹介。1記事400字。毎朝更新。

『いちご同盟』と青春と死を考える少年少女たち

今日は小説。

いちご同盟 (集英社文庫)

いちご同盟 (集英社文庫)

 

 三角関係恋愛物語だワン。腫瘍がひどく、片足切除して入院中の女の子は死と向き合っているワン。野球部の幼馴染はそれを応援し、巻き込まれたピアノ少年は少しずつ女の子に惹かれていくワン。

 

野球部は彼女のために試合頑張るし、ピアノ少年は彼女のためにピアノを弾くワン。

 

ピアノを弾く少年は純粋さを求め、嘘を嫌い、何かこうもがいているような感じだったワンね。まっすぐに生きていくことができる野球部と少しだけ対照的で、死んでしまいたいという想いをいつも抱いているワン。

 

女の子はもがくピアノ少年に「私と心中しない?」って言うし、自分に近づいてくる死が怖くて冗談とも本気ともとれる言葉を投げかけるワン…。

 

女の子の死が怖くて、野球部とピアノ少年は病院で相撲を取るワン。切ない名場面だワンね…。

 

夏休み明けは全国的に、児童生徒が最も自殺を考えやすい時期だワン…。悩みに寄り添いながら、気を引き締めていきたいと思うワン。

成毛眞さんの渾身のメッセージ、『大人げない大人になれ!』

今日は新書。

 

大人げない大人になれ!

大人げない大人になれ!

 

 

子どものときの好奇心、好き嫌いに満ちた「大人げなさ」を呼び覚まし、ビジネスもプライベートも楽しんでいこうという一冊だワン。著者の成毛さんは、日本マイクロソフト元社長だワンね。

 

まー、よくある言説ではあるワンね。空気を読んだり、我慢したり、そういう頑張り方はもう古いし、何か新しい突破をしたいのであればドンドン大人げなくなろうぜっていうメッセージだワン。

 

当時のマイクロソフトには変人も多かったみたいだワン。スーツ持っていない人や会社に泊まる人もいたワンね…。すごく楽しそうに書いてあるのが印象的だワンね。

 

でも、鋭さもあるワンよ。キャリアプランを立てる無意味さを説き、「計画された偶然性」に期待する生き方を提案しているワン。

 

また、英会話もいらないというのも面白いワンね。ビジネスだと相手がフォローしてくれるし、むしろ必要なのは源氏物語や歌舞伎の知識と主張してるワン…。

 

楽しく読める一冊だワンね。

『教養は児童書で学べ』はけっこうアリだと思った話。

今日は新書。

 

 

教養は児童書で学べ (光文社新書)

教養は児童書で学べ (光文社新書)

 

 

 

お盆くらいに出た本だワン。10冊の児童書をしっかりと読んだら、教養のヒントが詰まっているから読もうぜって本だワン。

 

はらぺこあおむし』を読んで、時間や曜日の感覚と、野菜を食べる大切さを学ぶことはできるワン。西洋人が好きそうなものをおなか一杯食べ過ぎた後、あおむしは葉っぱ食べて落ち着くワンね…。

 

『エルマーのぼうけん』からは、豊かな考察力が学べるワンね。潮の満ち引きとか、人間に追い払われた竜たちが本当に悪者なのかとか、けっこうエルマー鋭いワンね…。

 

『モモ』はエンデの名作だワン。児童書としては難しいと思うワンが、効率主義を徹底的に批判しているのが印象的だワンね。

 

著者はライフネット生命の創業者だワン。熱い思いがあって本を紹介しているワンね。

 

僕もそのうちの一人だワンが、「読書の面白さ」を伝えたくなるこの感情は何なんだろうと思うワン。読書は習得できる技術で、人生を豊かにすると思うワンね…。

『死神の精度』と死を前に動じるかどうか。

今日は小説。

 

 

死神の精度 (文春文庫)

死神の精度 (文春文庫)

 

 短編集で、あと一週間で死ぬ人の近くに死神が表れ、その死が可なのか保留なのかを判定するというお話だワン。死神はデスノートリュークみたいな悪魔のような姿ではなく普通の人間の姿で周囲に紛れているワン。

 

日常の世界の中で人々に突然訪れる死を、死神がただ淡々と観察していく感じのお話だワン。基本的に死神は自分がそうであることを隠しているワンが、中には死神の存在に気づいちゃう人もいるワンね…。

 

 

伊坂幸太郎の作品は、日常の中にファンタジーやフィクションがスッと入ってくるワン。ただ、どこか淡々としていて、独特の作品を作り上げているワンね。伊坂幸太郎らしさが全開なので、彼の作品を読んだことが無い人には、まずこれからオススメしたいワンね。

 

 

がんなどので余命を宣告されるのは別として、死に対して準備万端というのは難しいワンね。「明日死ぬかもしれないと思って生きる」ことができれば、毎日にハリが出ると思うワン…。

プロ、エリート、高学歴をバカにしたくなる気持ちとニーチェ。

「スポーツ選手はプロで自分の好きなことやって大金稼いでいるのだから、多少批判されても当然」みたいな考え、ちょっと嫌いだワンね。勝手に応援し、勝手に傷つく人が、「プロたる者の責任」を要求するワン。それで襟を正す選手よりも、窮屈に感じて自由にプレーができない選手のほうが多くなるワン…。

 

ミュージシャンもそうだワンね…好きな曲をつくり、コアなファンがライブで楽しんでいるだけの状態から、世間一般に広く「売れる」状態に移行したら、急に「好きなことで食べてるんだからきちんとしろ!」という世間の目が厳しくなる…萎縮してしまうと思うワン。自由な曲のほうが素敵だと思うワン…。

 

高学歴の人がちょっと失敗するのをバカにしたり、プロがカッコ悪い姿さらしながら引退するのをバカにしたり、そういうのはあんまりカッコいいこととは思わないワンね…。たいてい実績や功績を度外視して「人間性」の否定で溜飲下げるワンね…。焼き鳥屋でビール片手にするならいいワンけどさー…。

 

「教員が高学歴や専門家、プロの人間性を小バカにするのはなー」って思うワンね…。もちろん、それは個人の自由だワン…。ただ、生徒たちにはどんどん上を目指してほしいし、頂の景色を見た人たちに敬意を払う大人に育ってほしいワンね…。まー、これは僕の一つのエゴだということは自覚してるワン…。

 

発達障害などの困難を抱えている人、可能性を秘めているのにそれを発揮する機会が少なくて哀しいワン。「社会で働けるように障害と向き合おう」から「障害と向き合って働ける社会にしよう」に転換できないワンかね…。「そんなことしてたら世間がもたない」という批判が散らつくけど、理想論ワンかね…

 

エリートや天才と呼ばれる人も、何かしら困難を抱えているワンね。困難と上手く向き合いながら努力したことは評価されにくいワン…。もう、「地球に生きる全ての人が程度は違えど困難や苦しみを抱えている」という前提に立って、障害やマイノリティの問題を考えていったほうがいいと思うワンね…。

 

ニーチェが描いた超人物語『ツァラトゥストラ』は、びっくりするくらい人間臭かったワン。超人は独りよがりでプライドが高く、寂しがり屋で上から目線だったワン…。人々に自分の見た頂の景色を見せようか、山の登り方を教えようか悩み、感情的に怒りをぶちまけてたワンよ…「否!否!三度否!」とか…

 

弱き者の逆転劇に人は共感しやすいけど、「それは慰めなんだ。山を登り、強き者を目指そう」とニーチェは言ったワンね…。高みにいる人を「手の届かないヒーロー」と思い込まず、「頑張れば自分もなれるスーパーマン」と考えてもいいワン。高みにいる人にも苦しみがあると知るだけで、楽になれるワン。

 

 

ツァラトゥストラはこう言った 上 (岩波文庫 青 639-2)

ツァラトゥストラはこう言った 上 (岩波文庫 青 639-2)

 

 

『東京タワー』といったら江國香織のほうだと個人的には思う。

今日は小説。

東京タワー (新潮文庫)

東京タワー (新潮文庫)

 

 

リリー・フランキーの『東京タワー』も素敵だワンが、僕はこの『東京タワー』が大好きだワンね。

 

35歳くらいの女性の恋愛を描くのが上手な江國香織さんが、20歳くらいの男子たちの恋愛物語を書いているワン。

 

まー、当然のようにそこには不倫があり、年の差の恋愛があるワンね。東京タワーが見守る都会の中で、何か自分の可能性を確かめるように少年たちは恋に溺れ、それに呼応するように年上の女性たちも恋に溺れる感じの一冊だワン…。

 

江國香織のあとがきに「恋の前で、人はたぶん勇敢にならざるを得ない。」という一言があるワン。年下の少年たちに恋をしてしまった女性たちに対して、敬意と同情を感じながら、この一言が綴られていたワンね。

 

家族もやっかいなものだと思うワンが、恋愛も多分にやっかいなものだワンね。江國香織さんはこのあたり本当に上手…。

 

これね、男子がこっそり読むのをオススメするワンよ。不思議な魅力の一冊だワン。

『ビタミンF』を重松清から貰い、現代社会を生きようか…。

今日は小説。 

ビタミンF (新潮文庫)

ビタミンF (新潮文庫)

 

 

 重松清が家族をテーマに描いた短編集。ビタミンFは…この世に存在しない栄養素。FamillyのFだワンかね?彼の作品たちは家族の難しさを語ってくれるワン。

 

冷えた夫婦関係やいじめを受けるわが子の問題、お父さんの哀愁が止まらないワン…。

 

「もう無理だよー、どうしたらいいんだよー、今更やり直しなんてきかないよー」というような心の叫びが読んでいて伝わってくるワンね。苦しいし、悲しいし、それでいて希望はないわけではないし…。

 

最終的にハッピーエンドで何もかも解決とはならないし、奥田英朗の作品同様、説教めいたニュアンスも感じないワンね。やっかいな家族ややっかいな社会がそこには描かれているワン。

 

ここに、重松清の「おじさんの哀愁」という印象が形成されるのかもしれないワン…。

 

 

僕に優しくしてくれる同僚や生徒にも家族があるワンね。やっかいな状態で困っている人もいるかもしれないから、笑顔で挨拶したいワンね。